KENSHU SHINTSUBO

Aug

20

ART DRUG CENTERでの個展が始まりました。

石巻のART DRUG CENTERにて、個展『往還の風景』展が始まりました。

「2015年の夏、カメラを置き、シンプルな画材だけを携えて私が幼少期を過ごした東京の杉並区にある西荻窪の街を再訪した。その日は、街を流れる川の水源にあたる公園から伸びる川沿いの道を記憶を頼りに歩きながら、ドローイングの制作を行った。地面の上に紙を置いて手のひらと描画材を介してその場所に触れながらイメージを探ってゆく過程は、記憶のなかにある時間のそのものの不定形なフォルムに触れているかのような、場所そのものに触れているかのような感覚を心のなかに認識する契機となった。
それから5年を経た2020年の秋、NHKが放映する東日本大震災10年 特集ドラマのポスター撮影のために、物語の舞台となっていた石巻の街を訪れた。石巻は震災の直後の取材で赴いて以来だった。カメラを手に街を歩くと、目の前の風景に、かつてみた風景のなかに流れていた時間、石巻への列車のなかで読んだドラマの脚本のなかにあった物語のなかの時間が重なってくるように思えた。
翌年、2021年の春、そのドラマが放送される数週前、旧友の守章さんからとても久しぶりに連絡をいただいた。守さんは活動の拠点を東京からご実家のある石巻に移しておられ、その日から彼との交流が再び始まった。これと同じ頃、研究会「蜘蛛と箒」を主宰する石川卓磨さんより半年間にわたる郵便を用いた定期購読型作品プロジェクトへの誘いや、角川文化振興財団からの武蔵野の風景を撮影する依頼などがあり、国分寺崖線上のさまざまな場所へ赴いて制作をおこなった。そうした作業のなか、雑誌『GINZA』誌にて朝吹真理子さんの文章に、その年の夏休みに撮った私の娘の写真を寄稿したとき、別々に並行していた出来事が微かな輪郭とともなって交差したように感じた。
それを促してくれたのは、遠方に住む旧友との、メールや電話での、ときには対面での対話だったと思う。それらは、記憶の彼方にあった作業の断片と現在の作業を繋いでくれた。

本展では、昨夏に感じた微かな輪郭を、彼が運営する場のなかで眼差してみることを試みたいと考えている。」

 

 

[ 展覧会概要 ]

展覧会名 :往還の風景
会期:2022年 8月20日〜10月2日 (OPEN土&日の12時〜18時)
会場:ART DRUG CENTER
   986-0822 石巻市中央1-2-7-2F
企画: 守 章

 

https://artdrugcenterishinomaki.blogspot.com/

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